今回、2025年4月のベストフォトに選ばれた作品は、ミルクバスの中で穏やかな表情を浮かべる赤ちゃんの一枚です。この企画は、スタジオノーブレムが新たに開始した月間ベストフォトの第1回にあたりますが、そのスタートにふさわしい完成度の高さと、作品としての力を感じさせる写真を選出しました。

この写真の良さは「構成力と表情の調和」にあると思います。ミルクバスという非日常の演出と、それに自然に馴染んでいる赤ちゃんの表情との間に、違和感が一切ありません。

うっとりとしたまなざし、ふわりと浮かぶ髪の毛、自然にリラックスした身体の様子。

これらがすべて、演出によって形づくられたものではなく、赤ちゃんの「今この瞬間」のリアリティとして収められている点に、写真としての価値の高さが表れています。

さらに色彩やインテリア構成の完成度も高く評価しています。

白とベージュを基調とした統一感のあるセットデザインは、主役である赤ちゃんの存在を強調しながらも、空間全体に柔らかな余韻を残しています。ライティングにおいても、やわらかい自然光を取り入れつつ、白飛びを抑えた繊細な露出設計がなされており、陰影のバランスも適切です。背景の白鳥のオブジェや木製の小物類は主張しすぎることなく、世界観を補完する役割として機能しており、画面構成の面でも優れたコーディネート力を感じさせます。

また、ベビー撮影に求められる撮影者の観察眼（一瞬の良さを見抜く目）がこの一枚からは強く伝わってきます。撮影対象が赤ちゃんである以上、事前に想定した表情やポーズをそのまま再現することは非常に困難です。その中で、わずかな仕草や表情の変化を見逃さず、自然な表情を捉えたこの写真は、撮影者の技術だけでなく、空間演出・赤ちゃんとの関係づくり・撮影リズムの構築といった総合的な撮影力が結集した結果だと思います。

ベストフォトの選出にあたり、単に「可愛さ」や「映える」だけでなく、写真としての構成力・瞬間性・空間設計の完成度を重視した今回の写真は、スタジオノーブレムの全体のクオリティの指標ともなるものです。

静岡スタジオ 
Photographer  Nakayama