Photographer Kondo
赤ちゃんの写真撮影というのは簡単そうにみえて、簡単ではありません。
勿論、どのような写真を目標にするかにもよりますが、ノーブレムとしての赤ちゃんの写真はどういうものかということを少し話してみたいと思います。
生まれてきたばかりの赤ちゃんというのは、誰がどうみても、その存在そのものが可愛く、私たちの心を穏やかにさせてくれます。
0歳から1歳までの一年は、ものすごく変化が大きい一年です。
最初は一人でできなかったことも、少しずつ自らの意思を持ってやれることがどんどん増えていきます。
ちょっとしたものを手で掴んだり、寝返りができたり、つかまり立ちができたり…、
私たちの日常では当たり前のことが、赤ちゃんにとっては大きな成長です。
一つにノーブレムとしての基準があるのだとしたら、この赤ちゃんの能動性・変化がポイントだと思っています。
親になると「赤ちゃんが初めてできたこと」をよく記録するようになります。それは初めてということがもちろんポイントなのですが、それだけではなく、「自分から・自分の意思で何かをしようとした」、この光景を見ると喜びを覚えたり、成長を実感することができるからです。
そしてその瞬間を私たちは美しいと感じます。
「能動性」というのは、写真においては簡単に言えば、「動き」と表現してもいいですが、「動き」に瞬間的に反応し、シャッターを押すことが、赤ちゃんの写真を撮影することに求められます。
この本人から出る「能動的な動き」が、よく言われる「自然さ」と表現され、その写真からは、撮影者や周囲の存在を排除した、その被写体だけの存在に焦点があたった本当の意味での自然な写真となり、特別な力を持ちます。
私たちノーブレムが求める写真というのは「自由で自然な美しさ」です。
この一枚からは素直にそれを感じます。
「自由で自然な美しさ」、それを表現するために、赤ちゃんを心を穏やかにすることだけに集中し、遠くから見守っている時間も、あってもいいかもしれません。